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秋田地方裁判所大館支部 昭和54年(わ)89号 判決

主文

被告人を懲役二年に処する。

この裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。

被告人から金八〇万円を追徴する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、秋田県北秋田郡阿仁町長として同町の事務を管理執行するとともに同町にて採用する職員の任用の権限を有するものであるが

第一  昭和五三年五月下旬ころ、秋田県北秋田郡阿仁町銀山字下新町五七番地の二所在の被告人宅において、中嶋春弥から阿仁町職員の採用に関し、同人の長男中嶋仁志につき、便宜有利な取計らいをされたい趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら、右中嶋春弥から現金二〇万円の供与を受け

第二  昭和五四年二月一〇日ころ、前記被告人宅において、吉田要蔵から阿仁町立大阿仁保育所の保母として松橋洋子を採用されたい旨の請託を受け、その旨諒承し、その謝礼の趣旨で供与されるものであることを知りながら、右吉田から現金六〇万円の供与を受け

もつて、自己の職務に関し賄賂を収受したものである。

(証拠の標目)(省略)

(法令の適用)

一、判示第一の所為

昭和五五年法律第三〇号刑法の一部を改正する法律による改正前の刑法一九七条一項前段(行為時)、右法律第三〇号による改正後の刑法一九七条一項前段(裁判時)、刑法六条、一〇条(軽い行為時法の刑を適用)

一、判示第二の行為

右法律第三〇号による改正前の刑法一九七条一項後段(行為時)、右法律第三〇号による改正後の刑法一九七条一項後段(裁判時)、刑法六条、一〇条(軽い行為時法の刑を適用)

一、併合罪の処理

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(重い判示第二の罪の刑に法定の加重)

一、刑の執行猶予

刑法二五条一項

一、追徴

刑法一九七条ノ五後段(各受供与現金は没収不能)

一、訴訟費用

刑訴法一八一条一項本文

よつて、主文のとおり判決する。

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